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第117話

半ば無理矢理引き摺られるように木川組に連れ戻され、遼の部屋に入れられる。 「ココア、好きか?」 「···うん」 「ちょっと待ってろ」 遼がココアを入れてくれる。 温かいカップを手に持てば、凍っていた心が溶けていって、また涙が止まらなくなる。 「···ハルは、許してくれるって思ってた」 「ああ」 「でも、ハルは···凄く、仕事に厳しいから」 「···············」 「俺、ハルのこと、ただの男の人だと思ってたよ」 わかっていたつもりだった。 でも、全く違う。俺は全然わかってなかった。 「そんなわけ、なかったのに」 「大抵は、そうなんだろうよ。」 「···············」 「あいつも、俺だって極道やってる。でも大抵はそうじゃない。」 「···そうだね」 「お前の感覚はおかしくもないし、何も間違ってない。ハルの器が小さいわけでもない。ただあいつは一生懸命なんだ。···って、俺がこんなこと言ってもな」 遼が俺を励まそうとしてくれる。 その気持ちが嬉しくて自然と笑みが漏れた。

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