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第120話
数日経てば体調も良くなり、トラに不安な事を話そうと思っていたけど、一度そんなことも忘れてしまおうと、トラに連絡だけいれて、俺はすぐに家を離れ、昴さんの所に向かった。
「久しぶりだな、晴臣」
「しばらくお世話になりまーす」
昴さんの家に上がって、床に寝転がる。
お茶を淹れてくれた昴さんに「ありがとう」と言ってそれを飲んだ。
「お前にちょっと手伝ってほしいことがあるんだが」
「いいよ」
「近所の子供たちがな、後で向こうにある山に遊びに行くんだと。危ねえからついて行ってやってくれ」
「おう」
昴さんはどうやら近所の人達から好かれてるらしい。
動きやすい服に着替え、子供たちが集合場所であるこの家の前に来るのを待ちながら、庭にある小さな畑をぼーっと見た。
「あれ、何?」
「茄子」
「あれ食うの?」
「ああ。うまいぞ」
「そっか。楽しみだな」
そんな会話をしていると子供たちの話し声が聞こえてきた。
「行ってくる」
「気をつけてな」
立ち上がって玄関から外に出ると5人の男の子と女の子がいて、でかい声で「こんにちは」と挨拶する。
「おう、こんにちは。山に行くんだろ?昴さんは忙しいから俺がついて行くよ」
「お兄ちゃん、誰?」
女の子が大きな目で俺を見上げる。
「俺はハル。ほら、いくぞ」
「うん!」
昔、小さい時、俺も、よく昴さんと山に遊びに行った。
まだ何も知らない、子供の時。
「ハル!この山の上に神社あるんだよ!!」
「ああ···あの神社か」
男の子が山の上を指さす。
「あの神社、怖い」
「怖い?」
「狐さんのお顔、怖いの。怒ってるのかなぁ」
そんな話をする子供たちに、確かに神社にいる狐の像の顔が怖いなんて思ったことあったな。と昔のことを思い出しながら、山に続く道を歩いた。
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