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第123話
「ひよこ!お前久しぶりじゃねえか!」
裕也の声がうるさくて顔を顰めると「元気ねえな」とぐしゃぐしゃ頭を撫でられる。
「あの後浅羽さんとは仲直り出来たのか?」
「···悪化した」
「えっ、な、なんか悪い···」
「別に、裕也何もしてないじゃん」
教室に入って、席につくと龍樹君と裕也に挟まれてちょっと息苦しい。
「あのさ、向こう行ってくれないかな」
「え、俺に言ってる?」
「嫌なら俺が向こうに行くから。」
「ダメだ。」
立とうとすれば龍樹君に腕を掴まれてそこから離れられなくなる。
「離れるな」
「···わかった」
ゆっくり椅子に座り直す俺に裕也が「え、お前らそういう関係なの?」と嫌な目で見てきた。
「何考えてんの。バカなの」
「や、ごめん」
裕也の方に顔を向けるのもやめて、手元に視線を落とした。
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