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第129話

「お世話になりました」 「またいつでも来い」 頭をグリグリと撫でてくる昴さんに感謝をして、その日、昴さんの家を出た。 家に帰るまでの道で、色んなことを思い出した。 基本、子供たちと遊んでるだけだったけど、その分体力もついたし、楽しかったと思う。 携帯の画面の日付ではちょうど1ヶ月経ったと表示されていて、この1ヶ月で少しくらい成長出来たことがあるんじゃないかと感じる。 帰ったら、まずは遼に連絡をしよう。もうとっくに早河が色々してくれてると思うけど、二度とあんな事をしないようにちゃんと話をしないと。 それから、陽和に対してはもっと、別の言い方があったんじゃないか、とか。別に、陽和に罪悪感を感じさせるような別れ方をしなくてもよかったのではないか。って考えた時、復縁とか、そういうことじゃなくて、とりあえず、謝ろうと思った。 「自然って素晴らしいな」 自然の多い所では落ち着いてられる。 その落ち着いた思考の中で物事を考えれば、ちゃんとした答えがだせる。 長い時間をかけて、そろそろ家に着く。 もう空は暗くなっている。 家の姿はもう確認出来ていて、穏やかな気分でそこに帰れる───······ その時、背中に衝撃が走った。 体が傾く、片膝を地面について肺から叩き出されるように息を吐く。 「───ッッ···」 「死ね」 また、何度も体に衝撃が走る。 痛い、それを声に出して叫ぶことも、ろくな抵抗も出来ずに、振り下ろされるナイフを体に受け止めた。朦朧となる意識の端、男が逃げていく姿を目に映す。 俺の血が地面を汚していく。 やばい。そう思った時には意識を失った。

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