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第135話

それからしばらく入院生活は続いて、やっと家に帰ってこれた。 すごく懐かしい気がして、自分の部屋に入ったとき、自然と「ただいま」っていう言葉が出ていた。 「おかえり、ハル」 そんな俺の後ろには陽和がいて、口元が緩む。 「久しぶりに抱きてえな」 「ダメだよ。まだ体が本調子じゃないでしょ」 部屋に二人きり、久しぶりのこの状況に少し興奮してる。 陽和にキスをすれば、すぐに蕩けた表情になって。 ほら、お前だってそういう気持ちがあるんだろ?と陽和の目を見つめる。 「だ、だめ」 「···わかったよ」 でも、ダメだという気持ちは揺らがないらしい。 仕方なく離れて、まだ安静にしてるようにって病院に言われているから、そっとベッドに寝転んだ。 そんな時、思い出したのは俺に「死ね」と言って刺した男の事。 「寝るの?」 「いや、そう言えば俺を刺した奴って誰なのかなと思ってさ。」 「いっぱい刺されたんだよね」 「だから、相当俺を恨んでる奴だと思ってな」 「···一人、心当たりがある」 「あ?」 言いにくそうに顔を歪めてる陽和。 言いたくないことなら、言わなくていいし、自分で探す。 「別に、言わなくていい」 「言う。だって、俺なりのけじめだもん」 「辛くなるなら言うな」 「だ、大丈夫」 ベッドの淵に座った陽和がそっと俺の手に触れる。 「木川組にいる、中野龍樹」 「中野···」 「昔、ハルのせいで親が殺されたって、言ってた」 「俺のせいで?」 全く記憶が無い。 中野って名前にも覚えがない。 「顔は」 「遼に頼んで送ってもらうね」 そのまま、俺の隣に寝転んだ陽和は柔らかく笑って、そっと俺を抱きしめる。 「ちょっとだけ、昼寝」 「ああ。おやすみ」 陽和の腹をポンポンと撫でると、陽和はすぐに眠りに落ちた。

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