141 / 211

第141話

「起こしてくれるって言ったじゃんかー!」 「俺も寝ちゃったんだよ」 ラーメンを啜りながら、文句を言われて、仕方ないだろ。と思う。 「昨日寝れなかったって何で」 「あ?バイト。俺の家な、貧乏なんだよ」 「···へぇ」 「弟と妹が居るんだけど、そいつらの学費をなんとかさ」 「大変なんだね」 確かに、普段からそういう生活をしているようで、今まで全く気にしてなかったけど、裕也の目の下には隈がある。 「今日もバイトなの?」 「そうなんだよ」 行きたくないけどぉ!!と叫ぶ裕也に苦笑いしか返せない。 「俺、玉の輿狙う」 「何言ってんの」 「そしたら、楽になれる気がする」 「そんなに辛いなら、少し休んだら?」 裕也が言う言葉には全部、"本当"が混じってる気がした。 「じゃあ、頑張って」 「おう!」 笑顔で学校を出ていく裕也を見送り、俺は鳥居さんに連絡を入れる。 「すぐに行くよ」と言ってくれた鳥居さんを待ちながら、フンフンと鼻歌を歌った。

ともだちにシェアしよう!