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第141話
「起こしてくれるって言ったじゃんかー!」
「俺も寝ちゃったんだよ」
ラーメンを啜りながら、文句を言われて、仕方ないだろ。と思う。
「昨日寝れなかったって何で」
「あ?バイト。俺の家な、貧乏なんだよ」
「···へぇ」
「弟と妹が居るんだけど、そいつらの学費をなんとかさ」
「大変なんだね」
確かに、普段からそういう生活をしているようで、今まで全く気にしてなかったけど、裕也の目の下には隈がある。
「今日もバイトなの?」
「そうなんだよ」
行きたくないけどぉ!!と叫ぶ裕也に苦笑いしか返せない。
「俺、玉の輿狙う」
「何言ってんの」
「そしたら、楽になれる気がする」
「そんなに辛いなら、少し休んだら?」
裕也が言う言葉には全部、"本当"が混じってる気がした。
「じゃあ、頑張って」
「おう!」
笑顔で学校を出ていく裕也を見送り、俺は鳥居さんに連絡を入れる。
「すぐに行くよ」と言ってくれた鳥居さんを待ちながら、フンフンと鼻歌を歌った。
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