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第142話

朝に乗っていた車が目の前に止まった。 鳥居さんが手を振っている。助手席に乗ると「おかえりー、お疲れ様!」と言ってくれた。 「ありがとうございます」 「ねえねえ、ケーキがいい?ドーナツがいい?それともアイスとか?」 「え、な、何でも好き」 「じゃあ全部食べよう!!俺ねぇ本当、最近早河さんがこき使うからイライラしちゃってぇ」 「あはは···」 「あの人、全部仕事完璧にこなすから、周りもそうだと思ってるんだよ!」 鳥居さんがハンドルに勢いよく手を振り下ろす。 途端、けたたましい音が鳴る。 「早く行けよー!!青だぞ信号!!」 「お、落ち着いて」 「ああ、もう、ごめんね。俺ね、もうね···あー、ユキくんに会いたい。会いに行こう」 「今からですか?」 「うん!行こう!」 鳥居さんは行動力がすごいとこの時思った。 本当に甘いものを沢山買って、ユキくんの住んでいる大きなマンションに辿り着いたのだった。 「ユーキーくーん!!」 インターホンを鳴らし、大きな声でユキくんの名前を呼ぶ。 というかここ、すごく大きくて綺麗なマンションだ。それに階数も高い。もしかしてユキくんって滅茶苦茶お金持ち···?いや、でも、命さんと住んでるんだっけ? 「夕くん!」 そんなことを考えていると玄関のドアが開いてユキくんが出てきた。 「どうしたの···?命、いないよ?」 「今日はユキくんに会いに来たんだよ。ねえ、甘い物一緒に食べよ?ほら、陽和君もいるよ!」 「わあ!ひよくん!」 「こんにちは」 ユキくんに笑いかけると嬉しそうに笑顔を返してくれる。 「どうぞ!」 家に上げてくれたユキくんにお礼を言って、命さんとユキくんの住む家に上がった。

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