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第143話
「よーし、命さんには伝えたし、これで怒られない!」
「命は夕くんのこと、好きだから怒らないよ」
ユキくんが笑顔でそう言って俺たちにお茶をくれる。
「夕くん疲れてるの?」
「うん···ユキくん聞いて!早河さんがさぁ!」
鳥居さんの愚痴を一生懸命に聞いて頷くユキくん。
その姿を見ているだけで癒される。何て綺麗なんだろう。
「ひよくんは?ハルくんと仲良ししてる?」
「えっ、あ、あ···うん。ちょっと色々あったけど、仲良しだよ」
「ふふっ、命が心配してたの。ハルくんもひよくんも大丈夫かなぁって」
「そうなんだ···」
「でも、仲良しならよかった!ねえねえ、今日はいっぱいお話しようよ、俺ね、久しぶりに二人に会えて嬉しいの」
凄く嬉しいことを言ってくれるユキくんに胸がキュンとする。多分、そういう言葉を隠さずに素直に言う事が、ユキくんの凄くいいところなんだと思う。
「うん、たくさん話そう」
鳥居さんの言った言葉に頷いてみせた。
「じゃあ本屋さんでバイトしてるんだ?」
「そうだよ!俺、本大好きだから!」
「本屋さんなら、小さな子に絵本読んであげたりとかするの?」
「するよ!だからね、昔命がしてくれたみたいに読んでるの」
あ、ちょっとだけ表情が変わった。
ただ楽しそうな笑顔から、懐かしさの混じった憂いを帯びたような笑顔に。
「ユキくんは命さんのこと、大好きなんだね」
「大好きだよ!ひよくんも、ハルくんのこと大好きでしょ?」
「···うん、大好き」
買ってきた甘いケーキをパクッと一口食べた。
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