143 / 211

第143話

「よーし、命さんには伝えたし、これで怒られない!」 「命は夕くんのこと、好きだから怒らないよ」 ユキくんが笑顔でそう言って俺たちにお茶をくれる。 「夕くん疲れてるの?」 「うん···ユキくん聞いて!早河さんがさぁ!」 鳥居さんの愚痴を一生懸命に聞いて頷くユキくん。 その姿を見ているだけで癒される。何て綺麗なんだろう。 「ひよくんは?ハルくんと仲良ししてる?」 「えっ、あ、あ···うん。ちょっと色々あったけど、仲良しだよ」 「ふふっ、命が心配してたの。ハルくんもひよくんも大丈夫かなぁって」 「そうなんだ···」 「でも、仲良しならよかった!ねえねえ、今日はいっぱいお話しようよ、俺ね、久しぶりに二人に会えて嬉しいの」 凄く嬉しいことを言ってくれるユキくんに胸がキュンとする。多分、そういう言葉を隠さずに素直に言う事が、ユキくんの凄くいいところなんだと思う。 「うん、たくさん話そう」 鳥居さんの言った言葉に頷いてみせた。 「じゃあ本屋さんでバイトしてるんだ?」 「そうだよ!俺、本大好きだから!」 「本屋さんなら、小さな子に絵本読んであげたりとかするの?」 「するよ!だからね、昔命がしてくれたみたいに読んでるの」 あ、ちょっとだけ表情が変わった。 ただ楽しそうな笑顔から、懐かしさの混じった憂いを帯びたような笑顔に。 「ユキくんは命さんのこと、大好きなんだね」 「大好きだよ!ひよくんも、ハルくんのこと大好きでしょ?」 「···うん、大好き」 買ってきた甘いケーキをパクッと一口食べた。

ともだちにシェアしよう!