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第151話 晴臣side
怪我の調子も良くなった頃、陽和が中野龍樹を俺の前に連れてきた。そしてそれはタイミングの悪く丁度カラスが組に来た時。
「あー!君が陽和くん?」
「え···誰?」
陽和が動揺してるのを見てカラスはケラケラと笑う。
「こいつがカラスだよ」
「こんにちは、陽和くん!それと···、君は中野龍樹くんであってる?」
「何で俺の名前···」
「ふふっ、俺ね、情報屋なのっ!」
陽和と中野が二人して眉を寄せる。
「ハル、話あるけど、とりあえず後でいいから、俺達出かけてくるね」
「ダーメダメ、陽和くん。俺の仕事の報酬は話をすることだよ。今回の件には君も関わってるんだから、俺と話をしてくれないと今後一切協力しないよ。いいの?君の恋人が大変な目に遭っても」
俺が陽和を止めようとするより先に、カラスがベラベラと話て陽和の足を止めさせた。
「···ハルが困るようなことしないで」
「そうなるかどうかは君次第だよぉ。ほら、どうする?」
「チッ」
「わー、いい音」
陽和を挑発するカラスは心の底から楽しそうに笑っていて、でも今回は陽和を庇うことは出来ない。
俺の隣に座った陽和と、その陽和の隣に腰掛けた中野。
「で?何を話せばいいんですか」
「機嫌悪いの丸出しじゃん!やだぁ。ねえハルぅ、こんな奴やめて俺にしなよ。仕事でも使えるし、夜も好きなようにしていいからさぁ」
「はぁ!?何言ってんのカラスさん」
陽和がキレる前にカラスを黙らせよう。
カラスの隣に座って「頼むから煽るな」と目線を合わせて言えば「じゃあ、これで許してあげる」と頬にキスされる。
「じゃあ、帰ろっかなぁ」
「ああ、帰れ。それからさっきの件頼んだぞ」
「任せてよ。なんたって仕事出来ちゃうからさ、俺。」
そう言い残し、帰っていったカラス。
そういえばやけに静かだな、と陽和の方を見ると鋭い視線で俺を見ている。
「···今、キスさせた」
「頬にな」
「俺が女の子とキスした時は怒ったのに」
「口だったしな」
「俺、怒った」
「······悪かったって」
だってこうしなきゃ、陽和は余計怒っていた筈だ。
中野はどうしたらいいのかわからずに俺と陽和を交互に見ている。
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