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第152話
「ハルはそういうところ、甘いよね」
「そう思うならお前も同じようなことすれば?」
「何でそうなるわけ?」
「頬にキスされたくらいでそんなに怒る意味わかんねえからさ」
確かに、俺だって陽和が誰かに頬にキスをされていたらイラッとするかもしれない。けれどそれは時と場合による。
「普通、怒るでしょ」
「普通って何だよ」
「何でそんな屁理屈ばっかり言うのさ!」
「普通がわかんねえんだから仕方ないだろうが」
言い合いがヒートアップして来た。それを止めたのは中野で、俺と陽和の頭をパンっといい音を鳴らして叩いてきたのだ。
「いい加減にしろよ。下らない。帰るぞ俺」
「え···あ、ちょ、龍樹くん!」
誰かに叩かれるなんて久しぶりで間抜けな顔になっているであろう俺をじっと見た中野はニヤリと笑う。
「若頭のくせになんだよその間抜けな面は」
「···うるせえな」
「俺、お前はもっと冷たい奴だと思ってた」
「俺はいつもこんなだっつうの」
ソファーの背もたれにぐたりと体を預ける。
「龍樹くん!ごめん、話してくれない?」
「いいよ。別に怒ってないし。」
「本当?···よかったぁ、ごめんね」
陽和が俺を睨んできたけど、気にしない。
俺の対になるソファーに腰を下ろした2人が俺を見た。
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