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第158話
「──る──···はる、ハル!起きて!」
「ん···」
「ダメだよここで寝ちゃ!風邪ひいちゃう!」
陽和に体を揺らされる。
目を開けてぼーっと陽和の顔を見ていると「起きてる?」と聞かれて小さく頷いた。
「お仕事疲れたの?」
「···うん」
「あ!寝ちゃダメ!」
目を閉じたらすぐにダメだと起こされる。
仕方なく体を起こして伸びをすると「寝るならちゃんと布団被らなきゃダメだよ」と注意された。
「陽和」
「何?」
「犯人、お前と中野の言ってた裕也であってた。でもあいつが俺を刺したことは咎めることは出来ない。あいつの父親は俺達浅羽組のせいでいないんだ。きっと、その復讐だから」
「そんな···」
「話だけはする、でもそれ以上はもう何もしない。」
それだけ言ってまた目を閉じた。
途端、太股に体重がかかる。
「ハル」
「ん」
陽和が膝の上に乗るから、落ちないように陽和の背中に手を回して支えた。
「キスして」
「·········」
陽和の後頭部に手を当てて引き寄せる。
唇がギリギリ触れそうな時、陽和が俺の肩に両手をついた。
「お風呂、入ったの?」
「ああ」
「いつもより早すぎない?」
「仕事で疲れてな」
「···何の仕事?」
「何でそんなこと聞くんだよ」
陽和が離れていく、その表情は少し寂しそうだ。
「教えてよ」
「教えられない仕事だってある。わかってるだろ」
「···そ、うだね。ごめんね。でも、気になったの」
「お前は何も気にしなくていい」
陽和が俺の肩に頬をつける。
返事も何もしないから納得をしてないんだろうけど、別に、それでもいい。
ああ、そういえば聞かなきゃいけないことがあったんだった。
「なあ」
「何?」
「お前って、家族何人いるの」
「え、何、突然」
陽和が兄貴の存在を覚えているのかどうかってこと。
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