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第159話

「家族は俺入れて3···ううん、4人いるよ」 「何で今、3人って言おうとした」 「え、っと···あの···」 「別にどんな理由があったとしても、俺はお前のことを嫌いになったりしないし、非難もしない。だから、教えてくれ」 そう言うと意を決したように顔を上げた。 「母さん達は、お兄ちゃんを虐待、してた」 「···ああ」 「お兄ちゃんは、いないって、教えられてたの···でも、そうじゃないことは、わかっててっ、だから、お兄ちゃんに···」 「うん」 「何でいないって言われてるのって、言ったことがあるの」 陽和の震える声が鼓膜を震わす。 目に涙をためだしたから、もうこれ以上先は聞かない方がいいのかもしれないと思いながらも、もういいとは言えない。 「そしたら···お前のせいだよって、お兄ちゃん、笑ってたんだけど、急に、いなくなっちゃって···」 「それで、3人だって?」 「···うん。わかってるの、自分がどれだけひどいことをしてるかって」 「············」 「···でも、俺、小さかったから、どうしたらお兄ちゃんを助けられるのかとか、そんなの、わからなくて」 いよいよ泣き出した陽和はいつもとは全く違う、まるで子供のような話し方をする。 「俺、お兄ちゃん、助けてあげたかったの、でも、俺のせいだって、言うんだもん···」 「そっか」 「だからね、じゃあもう、知らないって···したんだ」 「うん」 「そしたら、消えちゃった。母さん達も、知らないって」 余程ストレスが溜まっていたのだろうか。 陽和の体がグラりと揺れて俺にもたれかかり「うー···」と小さく唸った。 「お兄ちゃん、どこにいるのか、ハルはわかるの···?」 「···わかるよ。知りたいか?」 「う、ん」 「俺とそんなに仲の良くない組の所で働いてる。」 「···会える?」 「お前の兄貴が会いたいって言うかと、向こうの組による」 ゆっくり顔を上げた陽和は俺の唇をぺろりと赤い舌で舐めたかと思うと、そのまま深いキスをしてきた。 「ハル、お願い」 「何だ」 「···お兄ちゃんに、会わせて」 「···わかった」 陽和の望むことは、出来ることならすべて叶えてあげたい。とりあえず西の仲のいい奴らに連絡を取ってみよう。未だに涙を流し続ける陽和を抱きしめて、これからのことを考えていた。

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