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第162話
「陽和」
「···何」
「お前が辛いなら、もう、やめるか」
「···な、にを」
「お前の兄貴とお前が会って、ちゃんと和解したら、もうこの関係をやめるか」
「···何、言ってんの···何で!何でそうなるのさ!!」
陽和の手首を掴み引き寄せた。
俺の胸に顔を埋めて泣く陽和は小さく震えている。
「お前がそうやって我慢してくれるのは俺は助かるけど、お前は辛くなるだけだ。今回の件に関しても、そうだろ。」
「···············」
「全部、俺の自分勝手な行動のせいだ。お前には何も非がない。お前がいないとダメだって前に言ったけど、俺がいればお前がダメになる」
「···やだ、よ」
「お前にはちゃんと幸せになってほしいから、俺から離れた方がいい」
顔を上げた陽和が顔を歪めて苦しそうに泣く。
「俺のせいで苦しむお前をもう見たくない」
「···は、る」
「だから、そうしないか」
「···ぅ、っ···や、だ···やだよぉっ、ハルっ」
俺に強く抱きついて離れなくなった陽和。
胸がキリキリと痛むけれど、陽和のこれから先の事を思えば我慢できる。
「まだ時間はある、ゆっくり考えて、決めよう」
「やだよ、離れたく、ない···っ」
「うん」
「ハル、俺、もっと頑張るから、離れないで、お願いっ」
「もう頑張らなくていいんだって」
「ね、ねえ?今から、セックスしよう···?ハルが···ハルが満足するまで、ね?そしたら···」
「陽和、もうそういうの、やめようって。そうやってしていないといけない状態なら、何もしない方がいいんだよ」
泣き止まない陽和に苦しくなる。
俺が悪い、それはわかってる。だからこそ陽和を自由にしてやらないと。そんな気持ちが胸を埋め尽くした。
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