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第165話
「あ?鳥居に···陽和さん?」
「命さんお願いお願い、美味しいご飯食べさせてくださぁい!!」
「美味しいかはわかんねえけど···とりあえず、上がって」
「ありがとうございまぁす!!」
鳥居さんと命さんとユキくんの家にやって来た。
ユキくんは俺達を見て嬉しそうに笑った後、俺にそっと寄ってきて「どうしたの?」と聞いてくる。
「ユキくんに会いたくなっちゃった」
「ふふっ、ひよくんとお話するの楽しいから、嬉しいなぁ」
迷惑だってわかってるけど、今は1人になるのは嫌で、話も聞いて欲しくて、優しいユキくんの笑顔を見たらまた涙腺が緩んでしまう。
「···ひよくん、たくさん頑張ってきたの?疲れちゃった?ねえ、甘いお酒飲まない?いっぱいお話して、スッキリしようよ」
「···う、ん」
「待っててね、持ってくるからね」
気を遣わせて申し訳ないって思う。
けれど、勝手に涙が出てくるんだもん。
服の袖で拭ってるとふわふわした白いのが足に当たる。
「···シロくん」
「ミャー」
小さく鳴いたシロくんはそのまま俺の体にスリスリと体を擦り付けてきて、可愛らしい。
「これとこれ、どっちがいい?」
「あ、えっと···じゃあ、こっち」
「うん!はい、どうぞ」
ユキくんはすぐに戻ってきて俺に缶のお酒をくれる。
プルタブを開けて一口飲めば甘くて美味しかった。
もう、何本お酒を飲んだんだろう。
意識はふわふわとしていて、さっきからわけもわからないことをべらべらと話してる気がする。
「だから···俺、我慢したの···」
「うん、凄いね、頑張ったんだね」
「でも···また、間違えた、みたいで···んっ、ぅ···」
泣きながらユキくんに凭れ掛かる。
命さんと鳥居さんが俺を心配するような声が聞こえた。
「ひよくん、ちょっとだけお休みしよう。俺ね、ずっとここにいるから。一人ぼっちじゃないからね」
「一人、やだ···ハルは、俺とね、別れたほうがいいって···」
「大丈夫だよ、誰もひよくんを一人にしないから。───命、ごめんなさい、毛布取って」
だんだんと目を開けてるのも億劫で、本能に逆らうことなく目を閉じた。
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