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第179話 陽和side

「指輪楽しみだね!」 「そうだな」 「ねえハル、そっち行ってもいい?」 「ああ」 ハルの膝の上に乗って「好き」と言いながら抱き締める。仲直りしてから、より一層ハルのことが好きになった気がする。 「陽和」 「なぁに?」 ハルが優しく俺の背中をなでた。 「···明日、お前の兄貴に会いに行くぞ」 「えっ、き、急に···?」 「明日しか都合が合わねえんだ。チャンスはそれだけ」 突然のその言葉に驚いて固まる俺と、そんな俺に困ったような笑顔を見せてくるハル。 「どうする?行くか?···というか、もう、行くって言ってるんだけどな」 「···うん、行くよ。ちゃんと、謝らなきゃ」 「ああ」 「でも、ハルも隣にいて」 一人は怖い。 お兄ちゃんが俺に対して怒ってるなんてわかりきってるから、余計。 「いるよ、当たり前だ」 お兄ちゃんに何て言えば良いんだろう。 母さん達には伝えた方がいいんだろうか。もし伝えてみて虐待していたことを後悔して反省しているなら、母さん達の言葉も伝えた方がいいのかもしれない。 「母さんに、電話してみる」 「兄貴のことをか?」 「うん。もし、悪いことしたってわかってるなら、母さん達は謝るべき、でしょ···?」 「···そう簡単にいかないと思うけどな」 「何で、」 「お前の両親が今も何も行動せずに生きているのがその証明だ。もし後悔しているならもっと早く、お前より早く行動しているはずだろ」 ハルの言葉を聞いて電話をするだけ無駄になるかもしれないと思った。けれど、1ミリ程度の希望はあってもいいはず。 「それでも、電話してみる」 ハルは一度だけ頷いた。 ハルの膝から降りて、携帯で母さんに電話をかける。 「もしもし」と電話に出た母さんの声は昔と何も変わらない。

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