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第184話
これから、お兄ちゃんがどう過ごすのかはわからないけれど、俺とハルと連絡先を交換したり、少しだけ関係の無い話をしたりして、だから多分、悪い方向には進まないと思う。
「またな、2人共」
「ありがとう」
「陽和は、そいつに幸せにしてもらうんだぞ」
「そいつじゃなくて晴臣だよ。」
「お、俺ね、今も幸せだよ」
もう1度お兄ちゃんを抱きしめてから、そっとお兄ちゃんの耳元で囁く。
「────···ずっと、今までありがとう。優お兄ちゃん」
優(ユウ)お兄ちゃん。
昔から名前の通りずっと優しいお兄ちゃんだった。
「俺、お兄ちゃんのこと大好きだよ」
「俺もだよ。ほら、もう行け」
「うん。またね」
お兄ちゃんに背中を押されて、ハルの方に歩く。
「また連絡するね」
「ああ」
そのまま倉庫から出て、はぁっと息を吐いた。
「よかったな、陽和」
「うん」
これでまた一つ、前に進めた。
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