187 / 211

第187話

「俺は、お前に許されたいなんて思っていない。お前が望むなら、お前の弟達が全員高校を卒業するまで、支援するつもりだ。親父とも、それは話をした」 「···お前、馬鹿だろ」 「あ?」 「お前らヤクザの抗争に巻き込まれて死んだ人間なんてきっと、俺だけじゃねえ。そんなことばっかり繰り返してたら、お前のこの浅羽組だって厳しくなるだろ。俺は別にそこまでしろなんて言ってない」 「······裕也ってさ」 話を聞いてると、裕也って多分、本当馬鹿だ。 ハルのことを馬鹿っていったけど、ハルは馬鹿じゃない。 「矛盾してるよ。ハルのことを殺したかったくせに、お金はいらないの?ああ、そっか。元からハルを殺すつもりだったから、結局、お金とかどうでもよかったのか。じゃあ何でそんなに働いてるの?今日だって200万のためにここに来たんでしょ?」 「············」 「裕也は本当馬鹿だよね。後悔してるんでしょ、ハルを刺したこと」 裕也の瞳がグラグラと揺れる。 ああ、図星か。 「俺は、この浅羽組が昔、裕也のお父さんを巻き込んだこととか、関係ないから言えるんだけど、人を刺すことってダメな事なんだよ。」 「わ、かってるよ」 「ハルはそれを無かったことにしてくれてるんだよ。だから今、裕也はそこにいるし、裕也の家族にも何も悪い事は起きてない。ねえ、刺されるのって痛いんだよ」 「わかってる!!」 「わかってるなら何であんな事したんだよ!!」 裕也に向かって怒鳴るとハルに「落ち着け」って言われる。 「俺は、裕也の過去のことなんて知らない!だから、俺からハルを奪おうとした裕也が許せない、でも、怒らないでいるんだよ、ハルが許してる、から···」 「お前らのことなんて知らねえよ」 「裕也がやったことは同じだよ。裕也のお父さんが関係の無いことで命を奪われたことと、今回の事は同じ。」 「····················」 気持ちが昂って涙が出てきた。 それを乱暴に服で拭った。

ともだちにシェアしよう!