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第187話
「俺は、お前に許されたいなんて思っていない。お前が望むなら、お前の弟達が全員高校を卒業するまで、支援するつもりだ。親父とも、それは話をした」
「···お前、馬鹿だろ」
「あ?」
「お前らヤクザの抗争に巻き込まれて死んだ人間なんてきっと、俺だけじゃねえ。そんなことばっかり繰り返してたら、お前のこの浅羽組だって厳しくなるだろ。俺は別にそこまでしろなんて言ってない」
「······裕也ってさ」
話を聞いてると、裕也って多分、本当馬鹿だ。
ハルのことを馬鹿っていったけど、ハルは馬鹿じゃない。
「矛盾してるよ。ハルのことを殺したかったくせに、お金はいらないの?ああ、そっか。元からハルを殺すつもりだったから、結局、お金とかどうでもよかったのか。じゃあ何でそんなに働いてるの?今日だって200万のためにここに来たんでしょ?」
「············」
「裕也は本当馬鹿だよね。後悔してるんでしょ、ハルを刺したこと」
裕也の瞳がグラグラと揺れる。
ああ、図星か。
「俺は、この浅羽組が昔、裕也のお父さんを巻き込んだこととか、関係ないから言えるんだけど、人を刺すことってダメな事なんだよ。」
「わ、かってるよ」
「ハルはそれを無かったことにしてくれてるんだよ。だから今、裕也はそこにいるし、裕也の家族にも何も悪い事は起きてない。ねえ、刺されるのって痛いんだよ」
「わかってる!!」
「わかってるなら何であんな事したんだよ!!」
裕也に向かって怒鳴るとハルに「落ち着け」って言われる。
「俺は、裕也の過去のことなんて知らない!だから、俺からハルを奪おうとした裕也が許せない、でも、怒らないでいるんだよ、ハルが許してる、から···」
「お前らのことなんて知らねえよ」
「裕也がやったことは同じだよ。裕也のお父さんが関係の無いことで命を奪われたことと、今回の事は同じ。」
「····················」
気持ちが昂って涙が出てきた。
それを乱暴に服で拭った。
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