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第195話
指輪が出来ましたったって報告が来た。
ワクワクしながらハルと手を繋いでお店に行くと店員さんは優しい笑顔で迎えてくれる。
「楽しみだね!どうしよう···なんか、緊張する!」
「何でだよ」
クスクスと笑ったハルは俺みたいに然程緊張してないようで、個室に通されて、テーブルの上に綺麗な小さな箱が2つ並んだ。
「こちらが浅羽様のです。」
店員さんが開けた1つの箱、そこにはハルと2人で選んだ指輪。綺麗でついつい見とれてしまう。
「こちらが白石様のです。」
もう1つの箱を開けた店員さん。
わぁって感動してハルの腕に抱き着くとハルが「手、出して」と言って俺の左手をちょんちょんと触る。
「あ、ぇ···」
「交換、しねえの?」
「する!」
ハルが俺の左手の薬指に指輪を嵌める。
何だか泣きそうになって、ぐっと唇を噛むとコツンと額が当てられて「噛まない」と優しい声で言われ、我慢出来ずに涙を流す。
「何で泣くんだよ」
「う、嬉しい、の」
「泣いてちゃ出来ねえよ、ほら」
ハルの左手が俺の前に差し出される。
ハルの指輪を手に取ってそっとその指に嵌めるとそのまま抱きしめられた。
「これでお前も俺から離れる事なんて出来ねえぞ」
「そ、んなの、するわけないよ」
自然と流れる涙をハルが拭ってくれる。
好きで好きで、たまらなくて流れる涙があるんだって、この時初めて知った。
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