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第198話

結局裕也はハルからあれ以上のお金を貰うことは無かった。刺したことに罪悪感を感じたらしくて、もう要らないって。 「別に、なんとも思ってねえのにな」 「···それはハルだけだよ」 ハルが言った言葉を軽く否定して、俺はハルの足の間で課題をする。「何これ」とか「これどういうこと?」とか、俺の課題を見ながらたまにハルが聞いてくるけれど説明をするのが面倒で「ちょっと待って」と遇う。 「なあ陽和ぃ、せっかく俺が休みなのに課題ってどうよ」 「仕方ないじゃん。これ仕上げなきゃ単位貰えないんだから。俺が留年してまたハルと一緒にいる時間が少なくなってもいいの?」 「···それは嫌だ」 「じゃあ我慢して。···って、もう、何···」 ハルの手が振り返った俺の頬に添えられてキスをされる。 流されちゃダメ、だからじっと睨みつけるとハルは折れてくれたようで俺から手を離して、背中にくっついてきた。 「あとどれ位で終わんの」 「うーんと···わかんない、まだいっぱいあるから」 「手伝うことは?」 「ないよ、頑張って早く終わらせるね」 「···待ってる」 ハルが待ってるんだから、早く終わらせないと。 必死に手を動かして、たまに悩んでは、わからなくてイライラしたり。そんな俺に「休憩するか?」とか「何か飲む?」とか気を使ってくれるハルに申し訳なくなる。 あともう少し、なのにその少しが難しい。 「ごめんね、大丈夫だよ」 「いや、謝ることじゃねえだろ。」 「もう終わりそうなんだけどね…」 ダメだ、やっぱりちょっと休憩が必要かも。 振り返ってハルに抱きついて触れるだけのキスをすると、目を細めたハルが舌を入れてきて深いキスに変わる。 「何?どうした」 「ちょっと休憩」 「あと少しなんだろ?どうせなら全部終わらせてシようぜ」 「···そうだね」 「ほら、頑張れ」 ハルに頭を撫でられ励まされてもう1度課題と向き合う。 背中にある体温が心地よくて寝そうになるのを我慢しながら、30分後にやっと課題を終えることが出来た。

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