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第204話

教室に行くと裕也がそこに居た。 気まずそうに変な笑顔を向けてくるから裕也の方に走って背中を思い切り叩いてやる。 「いってえええ!!」 「何変な顔してんさ。元から変なんだからそんな顔してたらもっと変になるよ」 「え···あ、あの、すげえ酷いこと言ってる自覚ある?」 ふんっと顔を背け裕也の隣の席に座る。 授業に使う教科書とノートを出しながら「あのさ」と未だに俺を困惑の混じった目で見てくる裕也に話しかける。 「何」 「俺もハルももう何も思ってないし、そんな裕也は気持ち悪いし、いつも通りでいいよ」 「え···?」 「終わったことをグチグチ言う程俺も暇じゃないし」 「···何も怒ってねえのかよ」 「ハルをあんな目に遭わせたことは怒ってるけど···ハルがその事についてはもう何も言わないから、俺もそうするの」 バッと勢いよく裕也の方を見る。 まだ困ったようなそんな表情をしてるから、一度思い切りその頬を叩いた。いい音が鳴って周りの人が俺達を見てくるけど関係ない。 「これで許した。だからいつもみたいにして」 「···容赦ねぇな」 「でも、そっちの方がスッキリするでしょ?」 「まあ。でもくっそ痛え」 頬を押さえて大袈裟に痛い痛いって言うから「冷やせば」と適当に対応するとギロっと睨まれる。 「ヒヨコお前なぁ!」 「俺はヒヨコじゃありませーん」 やっぱり、さっきよりは今の方が楽しい。 裕也から顔を背けて見られないように小さく笑った。

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