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第206話
「────というわけで、浅羽に新しく入ることになった中野龍樹だ。仲良くしてやってくれ」
その日の夜
龍樹くんが浅羽組にやってきて、晩御飯の時に組員さんもいる全員の前でハルによって紹介された。
龍樹くんは何度かここに来ていたから、もう既に認知している人がいて、それに元々浅羽組の人は優しいから笑顔で迎え入れていた。
「幹部は今日は早河しかいないからな…明日にでもちゃんと紹介する。とりあえず幹部補佐の鳥居と、その鳥居とよく一緒に仕事をしてる世那。最近は基本的にこの二人が俺の補佐って感じ」
ご飯を食べながら龍樹くんに説明するハルは少し楽しそう。そういえば龍樹くんのことを前にスカウトしていたのを思い出す。
「あ、赤石のことも紹介してえな···。よし、わかった。明日桜樹に行こう」
「赤石さんに会うの?俺も行きたい!」
そう言うとハルは優しく笑って頷いてくれた。
「赤石って言うのはここの元幹部だ。今は桜樹で姫さんだけどな」
「姫さんって?」
「若頭に相当愛されてる」
龍樹くんはそれを聞いて成程と頷いた。
俺達のことについてもだけれど、そういった所に偏見を持たないでいてくれるのは安心する。
無意識に触っていた指輪に視線を落とす。
「お前はまあこれから何をするにしてもいいけど···ここで何か一つでも成長することができるように俺も考えるし、頑張るから···お前も色々やってみろ」
ハルはそう言って龍樹くんに向かい微笑んだ。
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