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第5話
「なのにさぁ、飯がどうとか。随分余裕だね」
「…っ」
息を吹きかけられて、ビクッと身体が揺れる。シュンシュンとケトルから湯が沸く音が聞こえ始めた。
小山が誠の首筋を舐めて、そのまま耳たぶを優しくかじった。。誠の身体は硬直している。
「コーヒーは、あといただくからさ」
小山の手が、スエットパンツの上から反応しかけている誠のそれに触れた。
誠が慌てて払い除けようとするが、逆の手で止められる。
(まずいこのままじゃ、また…)
「と、とりあえずシャワー!」
思いがけず大声を出した誠。その声に小山の手が止まり、プッと吹き出した。
手をほどかれて誠が一息ついてると、小山はまだ笑っている。その笑い顔があどけない少年のようだったから、誠は拍子抜けした。
小山が先にシャワーを使い、その間誠はソファーで携帯をつついていた。画面にはニュースが写っているものの、内容はまったく見ていない。
部屋に響くシャワーの音。
(何やってんだろ、俺)
こんな時間に、恋人でもない男と。明日も休みで助かった。
その後、誠がシャワーを終えて、リビングに戻ると自分のスウェットを着てソファーに座る小山が顔を上げた。
そしてソファーの空いているところをポンポンと叩いた。こっちに来い、ということだろう。お前の家じゃないんだぞ、と言いながら隣に座る誠。
「僕の言うこと、素直に聞いてくれるよね、白河さん」
小山が微笑する。さっきの件から幾分、小山の顔が柔らかくなったようだ。誠はムッとしながら小山を見た。
小憎い口を叩くが、その顔はどう見ても誠の好みの顔。見れば見るほどゾクリとする。
「白河さん、耳弱いんでしょ」
耳たぶを舐められた誠は、顔を赤らめる。美容室や台所では中途半端に触られたが、今からはもう止める術がない。
こっちから攻めてやる、と意気込んでいた誠だったが、小山の顔を見るともう動けなくなる。首筋を這う舌がまるで生き物のようだ。
そして小山は遠慮なく伸ばした手で、誠のそれを直接掴んだ。
「…!ちょっと、えらいいきなり…」
「なんで。もう反応してるし、早く気持ちよくなりたいんでしょ」
「いや、そうだけ…ど…っ」
掴んだ手をゆっくりと上下に扱くと、誠の身体が火照る。他人に触られるなんて、何ヶ月ぶりだろう…と誠は段々と息を切らせながら考えた。
「は…っ…」
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