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第2話
悲惨な戦争の恐ろしさと平和の尊さも、次の寺院見学とランチタイムですっかり和らぎ、ホテルでくつろぐ頃にはすっかり頭の片隅に追いやられていた。
夕食を終え、お風呂に入り、班ごとに部屋でくつろぐ頃にはすっかり忘れ去られていた。
「おい、お前たち! 消灯だぞ! 早く寝ろ!」
各部屋を廻って、教師が灯りを消して行く。
それでも生徒たちは、布団から乗り出し頭を寄せ合って、お喋りをやめなかった。
「な、ポーカーの続きやろうぜ」
「電気付けたら、先生に見つかるよ」
「ちぇっ、仕方ないなぁ」
ひそひそと、そんなことを話し合っていた。
「じゃあ、罰ゲームしよう。確か一番負けてたのは、百瀬だったよな?」
「よく覚えてるなぁ、田宮(たみや)くん」
茉以は、密かに頬を赤くした。
(田宮くん、僕のことそんなにチェックしてくれてるなんて)
片思いの自覚は、ある。
それでも想い人の田宮に特別視されることは、嬉しかった。
田宮の次の言葉に、ひどく慌てることになったが。
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