10 / 34
第10話
まごまごしていると、田宮が口を開いた。
「あと3秒。2、1……」
茉以は、慌てた。
カウント内に告白しなければ、田宮と付き合う話は流れてしまうに違いない。
「あ、あのっ! 僕、片岡くんのことが、好きなんだ!」
おおおぅ、と周囲はどよめいた。
ちらりと見た田宮は、ニヤニヤしている。
「だって、さ。片岡、百瀬と付き合えば?」
な、百瀬。
そんな風に言われると、茉以も後には引けない。
「片岡くん、僕と付き合ってくれる?」
智樹は怪訝そうな顔をしているが、耳が赤くなっている。
「何で? 俺のどこがいいの?」
「え、えと。あの。頭いいし、読書家だし、純粋だし」
「解った」
「え?」
「俺、百瀬くんと付き合うよ」
やったぁ! と場は最高に盛り上がった。
ともだちにシェアしよう!