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第12話
「お前たちも、早く集合しろよ」
「はい」
「解りました」
後に残されたのは、茉以と智樹の二人きり。
そこへ、ぼそりと智樹が言った。
「ありがとう」
「え?」
「俺みたいな男、好きになってくれてありがとう」
(ち、違うんだ。片岡くん!)
「俺、陰キャとか、キモいとか言われてるけど、いいの?」
(良くないよ!)
「さっき俺のこと『純粋』だ、って言ったのは、なぜ?」
(そ、それは……)
初めて、茉以は口を開いた。
「昨日、戦争の話を聞いてた時、片岡くん泣いてたよね。僕、見ちゃったんだ」
「見られてたのか」
「可哀想な人のことを思って泣けるって、純粋だな、って思った」
「そうか……」
短い沈黙の後、智樹はドアを開けた。
「行こう。集合の時刻だ」
「うん」
二人は部屋から出ていき、誰もいなくなった。
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