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第13話
帰りのバスの中、生徒たちは疲れて皆ぐうぐう眠っている。
そんな中、茉以と田宮は同じシートでひそひそ話をしていた。
「もう! 田宮くん、どうして片岡くんにちゃんと説明してくれなかったのさ!」
「悪かったな。片岡のやつが、妙に嬉しそうだったから、可笑しくってよ」
「僕、片岡くんに告白したんだから、田宮くん約束守ってくれる?」
「あん? 何か約束したっけ?」
「付き合ってくれる、って言ったじゃないか!」
「怒るなよ、覚えてるって」
俺たち、付き合おうぜ。
そう囁かれ、茉以は夢見心地になった。
(田宮くん、ホントに僕と付き合ってくれるんだ……!)
ただ……。
「じゃ、片岡とは頃合いを見て別れろよ」
「え? 田宮くんが、いたずらだって言ってくれるんじゃないの!?」
「よせよ、面倒くさい。それじゃ、俺が悪者になっちゃうじゃん」
「そんな」
陽キャで友達が多く、いつも話題の中心にいる田宮くん。
オシャレでカッコよくて、サッカー部のエースの田宮くん。
そんな田宮くんが、こんなことをするなんて。
彼をいつも眩しく見ていた茉以の心に、少し影が差した。
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