13 / 34

第13話

 帰りのバスの中、生徒たちは疲れて皆ぐうぐう眠っている。  そんな中、茉以と田宮は同じシートでひそひそ話をしていた。 「もう! 田宮くん、どうして片岡くんにちゃんと説明してくれなかったのさ!」 「悪かったな。片岡のやつが、妙に嬉しそうだったから、可笑しくってよ」 「僕、片岡くんに告白したんだから、田宮くん約束守ってくれる?」 「あん? 何か約束したっけ?」 「付き合ってくれる、って言ったじゃないか!」 「怒るなよ、覚えてるって」  俺たち、付き合おうぜ。  そう囁かれ、茉以は夢見心地になった。 (田宮くん、ホントに僕と付き合ってくれるんだ……!)  ただ……。 「じゃ、片岡とは頃合いを見て別れろよ」 「え? 田宮くんが、いたずらだって言ってくれるんじゃないの!?」 「よせよ、面倒くさい。それじゃ、俺が悪者になっちゃうじゃん」 「そんな」  陽キャで友達が多く、いつも話題の中心にいる田宮くん。  オシャレでカッコよくて、サッカー部のエースの田宮くん。  そんな田宮くんが、こんなことをするなんて。   彼をいつも眩しく見ていた茉以の心に、少し影が差した。

ともだちにシェアしよう!