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第15話

 学校へバスが到着した途端、ぽつぽつと雨が落ちてきた。 「本降りになる前に、真っ直ぐ帰宅しろよ! それでは、解散!」  教師が修学旅行の終わりを告げ、生徒たちはばらけ始めた。 「田宮くん、途中まで一緒に帰ろう」 「ダメ。部活してから、帰る」 「でも、雨が」 「サッカーは、多少の雨でもやるんだよ」  じゃあな、と田宮は行ってしまった。  取り残された茉以は、ぽつんと立ちすくんでいた。 (僕たち、付き合い始めたんだよね? そうだよね、田宮くん)  田宮の部活が終わるまで、待っていようかと思い始めた時、智樹が近づいて来た。 「百瀬くん、これ」  渡されたものは、手のひらサイズの紙包みだ。 「何、これ」 「修学旅行の、おみやげ」 「おみやげ、って。僕も行ったのに?」 「じゃあ、プレゼント」  開けてみると、そこにはシックなネコの形をした栞があった。

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