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第16話
「きれいだな。いいの?」
「うん。それから、よかったら俺の家に来ないか? 傘、貸すよ」
どうして片岡くんは、こんなに優しくて親切なんだろう。
そこまで考えて、茉以は思い出した。
(そういえば僕、片岡くんと付き合うことになったんだった!)
「え、えと。いいよ、悪いから」
「けっこう降って来たぞ。近くだから、寄っていけよ」
「そこまで言うのなら……」
(片岡くんの家で、本当のこと話そう)
こういった思惑もあり、茉以は智樹について行った。
彼の家は、本当に学校のすぐ近くにあり、雨にもさほど濡れずに済んだ。
「アパートに、独り暮らし?」
「うん」
「偉いね。自立してるんだなぁ」
「そんなんじゃ、ないけど」
タオルで濡れた髪や服を拭きながら、茉以と智樹は話した。
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