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3.襲う準備は念入りに
実際相手を前後不覚にしてしまうドラッグはある。だがさすがにそういうものは使いたくない。
相手に知られずに事を終らせられるような、そんな都合のいい薬がほしい。もちろん一度したらそれでもう終り。相手も知らないし、俺も何もなかったように振舞う。そう、一度だけでいいから岡のイチモツで貫かれたいと思ったのだ。
それから俺は憑かれたようにネットで検索しまくった。きっと警察が見たら即掴まるような検索ワードが目白押しである。そうして俺はあるサイトに辿り着いた。
”好きな人にも知られずに抱いて(抱かれて)みたいと思いませんか?”
そんなうたい文句で睡眠薬のようなものが販売されていた。それは相手を一定時間深く眠らせる薬だった。その間相手は何をされても起きることはない。
”この薬を販売したことでなんらかの犯罪が発覚した場合は即販売を中止します。一切の痕跡を残さないよう注意してください。使用者の良識に委ねます”
当然ながらその薬は高かった。そう簡単に手が出るような価格ではなかった。だがその値段に後押しされ、俺は思わずその薬を買ってしまった。
とはいえ本当にその薬が効くのかどうかもわからないし、副作用などがないとも限らない。俺は岡に知られずに岡のイチモツを受け入れたいだけである。それをしたことで付き合うよう脅すとかそんなつもりは一切ない。たった一度それが叶ったらそれで忘れるつもりだ。何もかもなかったことにして、岡のイチモツを身の内に受け入れた思い出を胸に生きていくつもりである。
だから薬の効果を検証する必要があると思った。そこで俺は高校の時から仲の良い親友にヘルプを出すことにした。
そのおかげでとんでもないことになるとは知らずに。
「ほー。惚れた相手としたいけど、その相手にも知られずに一回したら諦めるから薬の効果の検証を頼みたいと。ほうほう」
「そうなんだ」
「ってガチ犯罪じゃねえか!」
「うん、自覚はある」
俺よりもガタイのでかい親友はジト目で俺を見る。そんな目をされる覚えもある。だが恋する男は止まれないのだ。
「頼む! コンドームも使うし一回で諦める! だから協力してくれ!」
「……相手が処女だったらどーすんだよ。相手に知られずに処女を奪うってか……」
「その心配はないから大丈夫だ」
俺は断言した。何故なら俺の処女をもらってもらうからである。
当然だが相手のことは知らせていない。
「ってことは大人の女なのか。まぁ、一回だけで相手にも知られずにヤッて諦めるっていうのなら……うーん……」
さすがに親友は眉を寄せて考え込んでしまった。そんな顔もイケメンだ。くそう。
「……その薬、俺に使うつもりじゃないだろうな?」
「いや、俺が使うから。つねったりとか叩いたりとかして反応しないかどうか見てほしいんだ。できれば録画もしてほしい」
「マジか」
マッチョな親友は呆れたようだった。ここで断わられてもしかたないと俺は思う。俺にできるのはそのまま警察に駆け込まないよう頼むことぐらいである。祈るような気持ちで元バスケ部の重要な戦力だった親友を見つめると、ヤツは深くため息をついて了承してくれた。
親友―安田宗司 は困ったような顔をして週末うちに泊まりに来た。お礼に金は払うと言ったら断わられた。その代わり頼みがある時は聞いてくれと言われた。俺は一も二もなく了承した。
夕飯を食べた後、用法通りに酒に薬を入れて飲む。無味無臭で、特に色もつかない。これで効いたら本当にヤバイ薬だろうと俺は思った。宗司と話している間に俺は眠ってしまったらしい。
気がつけばベッドに寝かされていて、何故か尻の穴がジンジンと疼いていた。
「?」
昨夜アナニーをしなかった後遺症だろうか。宗司はベッドの端の方で寝ていた。ヤツが起きてから様子を聞くと、はたして俺は何をされてもずっと寝こけていたらしい。宗司が俺をくすぐったり、軽く叩いたりしている動画を見せてもらったが本当に無反応だった。
これならもしかしたらいけるかもしれない。
その後社員旅行は四人部屋だったと思い出し、吸うタイプの睡眠薬も売られていたので買ってみた。その検証にも宗司を付き合わせ、「いいかげんにしろよ~」とうんざりした顔をされた。その翌朝も尻穴がかなり疼いていた。俺は欲求不満なのだろうか。
そうして後輩を襲う準備が整った。あとは如何にして飲ませるかである。
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