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5.乳首が気持ちいいなんて知らなかった
同室とはいってもただの同僚なので、同室の他の二人は俺と岡にかまうことなく出かけてしまった。
「先輩、そろそろ朝食の時間終りますよ。おなか、すいてるでしょう?」
岡に声をかけられて、俺はしぶしぶ布団から出た。もう今日は部屋に引きこもるつもりだから浴衣のまま朝食の会場へ向かう。三泊四日の予定だから明日も明後日もぐでぐでしようと思えばできるし。岡はそんな俺の後ろを半歩遅れて着いてくる。昨夜のSっぷりを思い出すとまるで別人のように思えた。ちら、と昨夜のことはもしかして夢? などと思ってはみたが、ジンジンといまだ熱を持っているような尻穴の疼きにそんなわけはないと内心首を振った。
「おはよう、長井君、岡君」
「おはようございます」
「……おはようございます」
声をかけてきたのは部長だった。社員旅行はいわゆる社内全体の親睦行事だ。参加は自由だが参加者の様子は管理職が見る必要はある。
「遅かったから心配したよ。大丈夫そうだね」
「はい、ご心配おかけしました。大丈夫です」
「お気遣いありがとうございます」
朝食になかなか下りてこない俺たちを気にして待っていてくれたようだ。部長はそれならいいと笑って朝食の会場を出て行った。これからどこかへ出かけるのだろう。悪いことをしたなと思った。
朝食はバイキングである。そろそろ終りということもあってめぼしいものはあまり残っていなかったが、それなりに食べるものはあった。特に何を話すでもなく黙々と朝食をとり、部屋に戻った。
さすがに掃除もくるので浴衣のまま、というわけにはいかないだろう。着替えようと浴衣を脱いだら強く視線を感じた。
「な、何見てるんだよ……」
「長井先輩ってけっこう引き締まってますよね」
「そ、そうか……?」
大学では一応テニスサークルに所属し、それなりに参加はしていた。就職してからは企画部にいる為あまり身体を動かす機会がない。せっかくついた筋肉を落とすのは嫌だったのでジムに週二、三日通っている、ということは前述した通りである。
「一応ジムには通ってるしな」
そう言いながらチノパンを履き、Tシャツを着ようとしたがそれはかなわなかった。Tシャツを、いつのまにか近寄ってきていた岡に取られてしまったのだ。
「お、岡?」
「アナルオナニーはするのにチクニーはしないんですか?」
「……え?」
顔がぶああああっ! と熱を持つのを感じる。そう、俺は昨夜岡が初めてだと、尻穴が柔らかかったのはアナニーが好きで自分で拡張していたと告白させられてしまったのだった。
「先輩の乳首、焦げ茶色ですけど小さいですよね。いじらないんですか?」
「な、ななななんでっ!?」
後ろから抱きしめられるようにして岡の指先が俺の乳首を摘む。
「……っ!」
「乳首いじりながら犯されるの、すごく気持ちいいらしいですよ?」
耳元で囁かれてぞくぞくする。
「お、俺は女じゃ……」
「女性のことはわかりませんけど、男だってここは感じるんですよ」
そう言いながら岡は両手で俺の胸を揉み、両の乳首を摘みあげた。
「あっ……!」
「いじり続けると大きくなるし、ここだけでイけるようにもなるらしいですよ。いっぱいいじってエロい乳首にしてあげますね」
「え? あっ……!」
くにくにと乳輪から乳首をいじられると、くすぐったいような、なんともいえない感覚が背筋を伝った。
別に抑えつけられているわけでもないのに逃げられない。
「先輩、座って。ズボン、脱いじゃいましょう」
「え……」
「だって先輩の、苦しそうですよ?」
「うそっ……」
乳首をいじられただけで感じてしまったのか、俺自身が少し立ち上がり始めていた。
「大丈夫。掃除が来る前にはやめますから。ね?」
岡の声はまさに悪魔の囁きで、俺はしぶしぶ履いたばかりのチノパンを脱ぎ、部屋を汚さないようにと自分自身にコンドームを被せた。岡がスマートに俺の腰の下にバスタオルを敷く。
「あっあっ……」
「捻られるのが好きですか? それとも引っ張られるのが?」
「あっ、どっちも、どっちも気持ちいいっ……!」
そうして俺は岡のフィンガーテクニックにより1時間近くも乳首をいじられ続け、すっかり乳首の快感に目覚めてしまったのである。
俺の身体はいったいどうなってしまうのだろう。
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