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16.社員旅行を終えたと思ったら
そんなこんなで爛れた社員旅行も終り、翌日は日曜日なので休みだった。出勤は月曜日からでいいとか、こういう企業をホワイト企業と言うんだろうなと俺は思った。
それにしても嗅がせる系の睡眠薬はよく効いた。同僚たちは毎晩のように女子社員を誘って旅館の中のバーに行ったりしていたらしい。昼間も出かけていたことからそれなりに疲れてはいたのだろう。おかげで睡眠薬の効果もありよく眠れたようだった。その間俺と岡が横でずっこんばっこんしていたとは思うまい。
ちなみに何故岡が初日の夜眠っていなかったのかというと、岡は細身なのでゲイ界隈でもどちらかといえばネコ(ゲイの受役)だと思われることが多いらしい。俺のことは頼りになる先輩で、俺がゲイだったらいいなとは思っていたという。初日俺の様子がおかしいと思い、注意深く観察していたから飲み物に気づくことができたのだとか。飲んだフリをして寝たフリをし、俺が岡を犯そうとするようなら返り討ちにするつもりだったのだという。
「まさか俺自身に乗っかってくるとは思いませんでしたよ」
そうでなくても俺のデカいのに、と岡は苦笑して言った。
昨日会社の最寄駅で別れたことを思い出す。LINEの交換はしたし、会社も部署も同じだし、Hしなくても一緒にいられる相手だ。だから一日会えないだけで寂しい、なんてことはないはずだが、俺の尻穴は俺の意志に反して疼いていた。
昨日帰宅し、片付け、洗濯を終えて、今日は一日だらだらしていてもいいのに俺の尻穴は太いものをよこせとねだっている。
「……何やってんだか……」
ため息をついて立ち上がり、中を洗浄する。しっかり洗って汚れがつかないことを確認すると、俺はまずローションをまぶした指で尻穴をほぐし始めた。
「んっ、あっ……」
この物件は親戚の持ち物だ。しっかりした作りのマンションだが古いし駅までの距離が微妙ということもあり、俺が就職する頃はなかなか借り手がつかなかったらしい。ファミリー向けにしては狭く、一人暮らしにはちょっと広いという間取りも関係しているのだろう。古いがマンションということもあり、防音は意外としっかりしているので多少声を出しても問題ない。おかげでこんな昼間から尻穴に指を二本入れて喘いでいるわけである。
「あっ、あっ、足り、ないっ……」
岡の指はほっそりしていて俺の指よりも太さはなかったが、あのデカいイチモツを思い出すとたまらなかった。尻穴の入口を限界まで広げられ、太くて長いイチモツが俺の中を蹂躙する。それはディルドでぐちゃぐちゃにしても得られる快感ではない。
「岡、岡ぁ……」
岡というより岡のイチモツに俺の尻穴は恋しているらしく、あれがほしい、これじゃ足りないと我儘を言うのだった。
乳首をいじりながら尻穴を犯されると気持ちいいらしいと岡が言っていたことを思い出し、尻穴に電動ディルドを入れながら乳首をいじってみた。
「あっ、あっ……」
乳首からの快感が俺自身に伝わり、それと同時に尻穴がきゅうんとする。俺は乳首をいじりながら電動ディルドを動かし、「もっと、もっと」と啼いた。正直誰にも見せられない光景である。
二回イッても俺の尻穴は満足しなかった。けれどさすがにそろそろ止めた方がいいと思う。
どうしようかなと思っていたらスマホに通知がきた。
ある程度後始末をしてから確認すると親友からだった。
”社員旅行どうだった? うまくいったか? 避妊はしたんだろうな?”
心配してくれていたらしい。俺は顔をほころばせた。
”どうにかなったよ”
と返したら電話がかかってきた。
「もしも―」
「おい! 相手には知られずにヤれたのか? どうなんだ!?」
すごい食いつきである。
「う、うーん……」
なんと言ったらいいかわからなくて詰まる。
「もしかしてバレたのか!?」
「あー、うん……」
「で? どうなったんだ!?」
「うーん……まぁなんというかその……」
「はっきり言え!」
これは言ってもいいのだろうかと悩むが、下手すると家に押しかけてきそうな勢いなので言うことにした。
「セフレ、みたいな関係と言おうか……」
「なんだってえええええ!?」
親友は余計にヒートアップしたらしくこれから家に来ると言い出したが、さすがに来るなやめろと止めた。その代わり今度の週末は会う約束をさせられた。
「ふう……」
どうにか電話を切りため息をつく。
「週末……岡に会えないかー……」
特に約束をしているわけではないが約束が入ったことで会えないと思うと残念だった。
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