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35.ラブラブな日曜日とちょっと違う月曜日

 日曜日はさすがに一回ずつに抑えてもらった。安田は朝俺を犯してから、名残惜しそうに帰っていった。仕事らしい。不動産業は休みがあってないものと聞く。どこの業界もたいへんだ。 「12月になると忙しくなるってなんなんでしょうね」 「あっ、んっ……!」  岡は一回だけだからとことさらゆっくり俺を抱いた。それこそ俺が「早く動けよっ!」と文句を言ってしまうぐらい俺の中に留まっていた。ずっと中を開かれているだけというのも気持ちいいのだが、がんがんに突いて何も考えられなくしてほしいと俺は思う。岡のは本当にでかいので入口を広げられる感覚だけできゅんきゅんしてしまうが、夢中になって求めてほしいとも思ってしまう。  もちろん最後は岡だってずっぷんずっぷんと俺の奥まで突きまくってイッた。その激しさに尻きゅんして第二ラウンドに突入しそうだったがさすがに抑えてもらった。 「先輩がエロすぎるから……愛してます……」 「あっ、もういじるなぁっ……んっ……」  どうにか服を着た俺たちだったが、岡は名残惜しそうに俺を膝に乗せ、後ろから俺の服の中に手を入れて乳首をずっといじっていた。気持ちいいからホントやめてほしい。  日曜日の夜には帰る予定だったが岡に引き止められて結局泊まることになってしまった。あんな捨てられる子犬のような瞳で縋られたら逆らえるわけがないだろう。  月曜日の朝も早く起こされて岡のでぬっくんぬっくん犯された。昨夜中を洗っておいたからいいけどそうでなければ本当に困る。 「先輩と一緒に暮らしたいです……」 「いや、無理だろ」 「先輩冷たい」  金曜日から泊まっていたので金曜に着ていた服を着れば出勤は可能だ。(洗濯できるものは岡が洗濯しておいてくれた)いくらなんでも金曜と服が同じだと指摘する者はいないだろう。同じ電車に乗ると、今日はなんだか首の後ろにチリチリするような感覚があった。そしてそれは駅を出るまで続いた。  ……もしかして誰かに見られてた?  まさかな。  12月に入ったと思ったらいきなり忙しくなりはじめた。営業はそんなにがんばらなくてもいいと思う。  企画部は季節の商品展開に対して忙しくなる月が大体決まっているが、営業がむちゃぶりをしなければ徹夜で何日も詰めるなんて必要はない。本当にいい迷惑だった。 「バレンタインか……」 「チョコレートもそうだけど贈物関係でもっと展開できないかと」 「それはホワイトデーでいいんじゃないか?」 「クリスマスのようにはいきませんしねー」  ぐだぐだな会議を終えて岡と昼食を食べに行くことにする。一階に下りると同期の桂美々(かつらみみ)がいた。 「長井君」 「桂? どうしたんだ?」  桂が近づいてきて俺に声をかけた。いつも一緒にいる女子社員の姿がない。 「今日はちょっと……長井君たちに話したいことがあったの。いいかな?」  ためらいがちに言われ、俺は岡を見た。岡が頷く。  そして俺たちは桂と昼食に行くことにした。  会社に近いビルの、地下のカフェに移動する。ここは意外と知っている人が少ない。ランチをするには割高だが、カフェの主人は趣味でこの店を経営しているので客がいようがいまいがかまわないというスタンスだ。 「全額は出せないけど、少しは出すから」 「気にするな。自分の分は自分で出すよ」 「桂先輩、気になさらないでください」  話を聞いてもらうからと多めに出そうとする桂を止める。おごる気はないが、女性に出してもらうなんて俺としては論外だ。 「で、何があったんだ?」  頼んだものが来て、落ち着いてから俺は切り出した。 「……うん、社員旅行の時に同室だった人たちのこと覚えてる?」  中島と木村のことだろうか。確か桂たちと一緒に行動していたような気がする。 「ああ、アイツらがどうかしたのか?」 「振ったの」 「そうか」  岡はその簡潔な答えに目を丸くした。 「あれから何度か食事には行ったんだけどなんか違うなーって思って。そしたら付き合わないかって言われたの」 「ふうん」 「でね、よくわからないんだけど長井君に声をかけても無駄だぞとか言われてさー」 「は?」  中島だか木村だか知らないが何故そこで俺の名前が出るのだろう。俺と桂は同期だがお互いに全く恋愛感情はないだろう。ひどい勘違いだと俺は思った。 「なーんか腹立ったから、長井君に失礼でしょうって返したの。だからもしかしたらあの連中に絡まれるかもしれないけど、ごめんね?」 「ああ、そういうことか」 「先輩、このサンドイッチおいしいですよ。食べません?」 「じゃあ交換で」  岡が頼んだホットサンドがおいしそうだったので、俺のバーガーを半分に切ってシェアすることにした。 「わざわざ知らせてくれてありがとな。桂が気にすることはないぞ」 「……佐藤ちゃんが騒ぐわけよね。うん、本当にごめんね。あんまりうざかったら言って」  何故か桂の視線が生温い。俺は首を傾げた。 「大丈夫だから」  桂に千円もらい端数は俺が払った。たかが数百円なのに桂は恐縮していた。 「こっちが出すつもりだったんだけど……」 「気にするなよ。微々たる額だろ」  おごる理由はないので俺にできるのはせいぜいそれぐらいだ。 「はー……こういうところだよねぇ……」  先ほどから桂がよくわからないことを言っているが聞かなかったことにする。こういうのは追求するとろくなことがないのはよく知っていた。 「長井先輩、優しいですよね」 「うん、優しいのよねぇ」  何故か岡としみじみ言っているが意味がわからない。  三人連れ立って戻ると中島たちから視線を感じたが無視した。振られるには振られるだけの理由がある。それが些細なことであってもだ。  自分のことで精一杯な俺を巻き込むのは止めてほしかった。

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