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サビシイ 5
「俺今、そっちいないからさ」
文句のひとつも言いたいところだが、今はとにかくハルが起きる前に切らないと。
『あーやっぱり?! いっくらドア叩いてもでてこないと思ったよー』
そこで普通諦めろよ……。
「とにかくそういうわけだから。隣の伊勢さんでも誘えよ。じゃーな」
『えー、伊勢さんに朝からこんな事したら怒られちゃうよー』
俺はいいのか。頭痛がしてきた。
『あ、香取もしかして彼女んとこ? いないとかいっといてまったくー。今度写メ見せて』
「違……はぁっ!」
『えっ! なに?』
ハ、ハルてめぇ……。
(いきなり耳に舌入れるな!!)
スマホを当てていない右耳に、ハルの舌が侵入してくる。動けない俺の身体を焦らすように。完全に遊んでる。スマホを持つ手を拘束しては来ないから、このまま電話を続けさせるつもりか。
ハルの身体を空いている手で押し返しても、まるで歯が立たない。本当になんなんだこいつ。電話を切ったら覚えてろよ。
耐える俺を試しているのか、ハルの右手が胸の尖りを弄り始めた。爪で軽く引っかかれ、思わず身体を震わせると、クスリと笑う吐息が耳にかかった。
(こ、い、つ……!!)
『もしもし香取、大丈夫?』
「だ、大丈夫だから切る……あっ」
ジュルジュルと音を立てて耳中を吸い上げられ、堪らず声が漏れてしまった。
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