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サビシイ 14
「四月は良かったよ、毎週会えた。五月は三回、六月は二回。七月に入ったら一回しか会えてない」
俺からお椀を取り上げ、肩をつかんで熱弁を始めるハルの表情は真剣だ。
ああ、だから昨日、金曜も来いだなんていいだしたのか。
味噌汁、冷めちゃうから返してくんないかな。
「このままの計算でいくと、来月はゼロだ!」
いやその計算はどうかと思うよ。
とはいえず、なだめるように優しく返してみる。
「来月は夏休みあるからさあ……どっかいこうぜ」
あ、頬が緩んだ。
よしよし。
「なあ、どうしてだめなんだ。都内沿線に住めば、お互い通えるだろ」
そうだけど。
そうじゃない。
「俺と毎日一緒にいるのは嫌なのか」
なんと返したらよいかと考えていると、勝手に1人で盛り上がり始めた。
「い、嫌なのか!」
面倒くせーなあ。
「そうじゃねーよ」
「猿山の居心地が良すぎるのか?」
それってマンションの事だろうか。
「んー、まあ。職場から徒歩五分だし、家賃控除で月の支払いが光熱費一律五千円だし」
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