19 / 428

サビシイ 14

「四月は良かったよ、毎週会えた。五月は三回、六月は二回。七月に入ったら一回しか会えてない」  俺からお椀を取り上げ、肩をつかんで熱弁を始めるハルの表情は真剣だ。  ああ、だから昨日、金曜も来いだなんていいだしたのか。  味噌汁、冷めちゃうから返してくんないかな。 「このままの計算でいくと、来月はゼロだ!」  いやその計算はどうかと思うよ。  とはいえず、なだめるように優しく返してみる。 「来月は夏休みあるからさあ……どっかいこうぜ」  あ、頬が緩んだ。  よしよし。 「なあ、どうしてだめなんだ。都内沿線に住めば、お互い通えるだろ」  そうだけど。  そうじゃない。 「俺と毎日一緒にいるのは嫌なのか」  なんと返したらよいかと考えていると、勝手に1人で盛り上がり始めた。 「い、嫌なのか!」  面倒くせーなあ。 「そうじゃねーよ」 「猿山の居心地が良すぎるのか?」  それってマンションの事だろうか。 「んー、まあ。職場から徒歩五分だし、家賃控除で月の支払いが光熱費一律五千円だし」

ともだちにシェアしよう!