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ハグとキス 3
俺はむくりと起き上がり、ベッドの上の青木を蹴り飛ばした。
「何でお前がベッドで寝て家主の俺が床に転がってんだよ。さっさと帰れ」
「え~まだいいじゃん」
その時、机に置いていた個人用のスマートフォンに着信が入った。
(ハルかな)
「電話来たし。また明日な」
豚みたいにぶうぶう言ってる青木を追い出して、はあと大きく息を吐いた。
そうだ、電話。
しつこく鳴り続けるスマホを手に取り、着信表示を確認する。
「……誰だ?」
覚えのない番号。登録されてない番号だ。
時計を見れば、二十一時を過ぎている。とりあえず個人用にかけてくるなら知り合いなのだろうと、深く考えずに通話ボタンを押した。
「はい」
『……省吾?』
一瞬誰だか解らず沈黙したが、数秒して思い出す。少し低く艶のある女の声。
三年前に別れた女だと、気付いた時には電話に出た事を後悔した。
「……京香。何の用?」
『ゴメン、名古屋から関東に帰って来てるって聞いて……』
誰から聞いたんだと、頭が痛くなる。
『会えないかな』
「は? 何で。話す事なんてないだろ、俺はねぇよ」
別に苛ついてるわけじゃない。
ただ単に、どうでもいいし、興味ないし、面倒臭い。
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