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夏迷路 3

 勢いよく角を曲がった先は、またもや行き止まり。 「っーか、なんなのこれ」  汗を拭く気にもなれない程、ガックリと肩を落とす。  俺は一生この迷路から出られないかも知れない。  この向日葵達が枯れ果てる頃、同じ様に干からびた俺の死体が発見されるニュースを想像して更にグッタリする。  その時ふと、周りより頭ひとつ高い向日葵の花に目が止まった。 「でけぇな、こいつ」  そうだ、何で目が止まったのか。  こいつ、太陽じゃなくて、俺を見ている。 「……誰かに似てんな」  近付いて、その太い茎にそっと触れてみる。  大きな葉はまるで、両手を広げているようで。 (ああ、そうか)  想像して、思わず笑いが込み上げる。  ハルに似てるんだ。  笑うハルと、よく似ている。  そう思えば愛しく見えて、その大きな花を撫でてみた、その時。 「やっと見つけた」  振り返ると、怒り顔のハルが立っていた。 「こんな所で迷子になるなよ。探しちゃっただろ」  こんな所ってお前、迷路は迷子になる場所なんじゃないのか。  迷う路《みち》と書いて迷路じゃん。

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