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これから 3

◇◇◇  駅から程近い場所にあるバーに連れて行かれ、今はカウンターに並んでいる。なんなんだ。どうしてこうなった。  小さな店内には数人の客がいて談笑が聞こえるけれど、BGMが聞こえる程度に静かだ。 「俺の名前は佐波圭介。年は上だけどハルの同期だ」  早々に自己紹介を受けた俺は、はぁとため息まじりに会釈を返した。  ジントニックを飲みながら、サワケースケと名乗る男の顔を見る。 (ハルの同期、ねぇ)  年上ということは、院卒か。上品な顔でロンドンヒルをストレートで飲んでいる。それにしても。  俺を飲みに誘う意味がわからない。  青木が突然ハルを単品で飲みに誘うようなもんだ。  ……いや青木なら全然有り得そうで参考にならねぇな。 「きみは……」  と聞かれ、渋々と名乗る。 「香取」  するとサワケースケは、そうだそうだと笑顔を見せながら口を開いた。 「香取省吾くんだ」  ハルは一体、職場で何を喋ってるんだ。なんでこんな知らない奴に、フルネームを知られてるんだ。個人情報駄々漏れじゃねぇか。  あからさまにムッとした俺を見ても、サワケースケは何でもない事のように軽く笑い、ロンドンヒルの香りを楽しんでいる。 「何でアンタが俺のフルネームを知ってんだよ。気持ち悪いんだけど」 「はは、別にハルがきみの事を職場で口にしているわけじゃない」  俺の物言いに驚きもせず、余裕な顔して笑みを浮かべるサワケースケに苛つく。自分は優位だと暗に漂わせる様子がカンに触る。 「ハルが省吾の存在について俺に説明せざるを得ない状況になったから話をしてくれただけで、勿論聞いたのは俺だけだから、そこは安心してくれ」 「は……」  ドサクサに紛れて呼び捨てか。  いやそんな事よりも。

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