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これから 4

 なんだよ、説明せざるをえない状況って。 「気に入らないって顔だな。実は正直いって俺も君の事が気に入らないんだ」  ニヤついている男の顔を殴りたくなってきた。  そうなる前にこの店からとっとと出よう。 「何故ハルが君にあれ程までに執着するのか、全く理解出来なくてね」 「何の話だ……」  テーブルの下で拳を握りしめる。 「君はハルを愛していると、はっきりと口に出して言えるか」 「……は?」  両眼で見据えられ、ギクリとした。人の心を見透かすような目。目をそらしたら負ける。  サワケースケは俺を見つめたまま、言葉を続けた。 「俺は言える。ハルを愛している。ハルが欲しい。他の誰にも渡したくない」  その声と言葉にもっていかれて、俺は言葉に詰まった。  この男は、何を言ってるんだ。 「ところがお前が居ると拒絶された。会って見たらこんなガキだ。ハルのやつ、俺を馬鹿にしているのかと思ってさ」  男は喉を鳴らして笑った。面白いものを見つけたとでもいうように、眼を細めて笑う。  俺はグラスのジントニックを一気に飲み干して、コースターの上にグラスを置いた。 「あんた、うるせぇな。なんだそりゃ、逆恨みか? あんたがハルにどんだけ惚れてんだか知らねぇけど、アイツが俺って言ってんなら俺なんだろ。がたがた言ってんじゃねぇよ、さっさと諦めろ」

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