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これから 6
◇◇
目を覚まし、自分に毛布が掛けられている事に気付く。
リビングの明かりは消えていて、寝室の扉の隙間から明かりが漏れている。
壁時計を見ると、時刻は午前1時を回っていた。
ハル、帰ってきたんだな。
モソリとソファから起き上がりそっと扉をあけると、机のPCに向かうハルの背中が見えた。
「……おかえり」
呟くように声をかけると、ハルがくるりと振り返り、嬉しそうに目を細めて微笑んだ。
「ただいま。金曜から来てくれるなんて、どうしたの」
「あー……いつもより早く終わったから」
いつも通りのハルだ。
ほっとしている自分に気付き、心の中で舌打ちをする。俺は何にびびってるんだ。
「すぐに起きるかと思ったら、完全に爆睡してたね。せめて着替えてから倒れるといいよ」
「はいはい」
クローゼットを開けて、俺専用の収納スペースから寝間着と下着を取り出す。改めて考えれば、こういうところもハルはちゃんとしてくれている。俺のスペースを用意して、そこには立ち入らないようにきちんと線引きをする。
「シャワー借りるわ」
寝室から出ようと扉に手をかける寸前、突然背後から肩を捕まれ、ベッドに押し倒された。
ギョッとして瞬きを繰り返し状況を確認する俺と、冷ややかな表情で見下ろすハル。
たった今まで上機嫌な笑顔だったはずのハルが、眉間にしわを寄せて俺の上に馬乗り。意味がわからねぇ。
「な、なんだよ突然」
「酒の臭いと、男物の香水の匂いがする」
「は?」
思わず自分の袖をクンクンと嗅いでみるが、煙草の匂いこそすれ、香水臭いかどうか全くわからない。
「省吾はつけない香水だ」
「しらねーよ、電車とかでついたんじゃねぇの」
「ここにくるまえに誰かと酒を飲んだな。誰」
なんだこいつは。
犬かエスパーか。
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