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これから 13
息も出来ない程のキスの後。
玄関先からハルを送り出し、バタンと扉が閉まった瞬間、空気の冷たさを肌で感じる。しばらく考えたのちに、再びベッドへ戻る事にした。
「あったけぇ……」
布団に包まりながら昨晩のハルの温もりを思い出し、ふっと頬が緩む。
肌寒さに気が付けば、季節は秋から冬へと移り変わろうとしていた。
そういやハルに初めて出会った時も、ちょうどこんな時期だったなと思い出す。
秋から冬へと移り変わる、少し淋しさを感じる季節。
ハルと出会ってから五度目の秋。
「色々、あったな……」
そして今も、ハルと俺は同じ気持ちで一緒にいて、温もりを感じる距離で傍にいる。
何があっても離れないと半ば強引に断言するハルを思い出して、自然と頬が緩む。
この温かな気持ちを、ひとはきっと「愛しい」というのだ。
愛しいひとを、愛しく想う。
ハルと俺が、ふたりで時間をかけて、少しずつ積み上げてきたもの。
始めは手探りでなにもわからなくて、すれ違ったりぶつかったりの繰り返しだったけれど、段々と見えてきたように思う。
ハルもそうだろうか。でもハルは大抵俺の先を行ってるから、俺がハルに追いついてきたのかもしれない。
俺がもたついても、ハルは待ってくれる。繋がれた手が離れることはないのだと、安心する。
愛しいひとを、愛しく想う。
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