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これから 14
◇◇◇
「……疲れた」
パソコンにかじりつきすぎた。目の渇きが酷い。瞬きを繰り返しても潤いが戻らない。あとでハルの目薬でも借りよう。
椅子の背もたれに身体を預け、大きく伸びをしながら壁時計に目をやると、時計の針は十六時をまわっていた。
小腹が減ったなと立ち上がり、と同時にスマートフォンから着信音が鳴り、無造作にそれを掴みキッチンへ向かう。
着信表示にはハルの名前。
仕事が終わったのかな。
冷蔵庫を開けながらノンビリと電話に出てみれば、エライ剣幕でまくし立てられた。
『省吾! 今どこだ、俺の家にいるのか?!』
「は? な、なんだよ居るけど」
お前が居ろって念を押してたんだろーが。
何を慌ててるんだこいつは。
『今から帰るから!』
わかったよと通話を切り、ハテと首を傾げる。
けれど冷蔵庫からチクワを発見し、心はあっさりチクワへと移った俺。
半分に切りマヨネーズを一本ひき、それをトースターへ入れる。
3分程焼き焦げ目がついたところで取り出し、青海苔をふりかけ完成。
「俺って天才だな」
出来上がった一品にウキウキしながらビールを片手に再びパソコンデスクに戻り、それから三十分程経った頃。
ガチャガチャと鍵を開ける音が聞こえたかと思ったら、血相をかえたハルが寝室に飛び込んできた。
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