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これから 15
息を荒げたまま俺をじっと見つめるハルに、少々驚く。俺、何かしたっけ。
「……居た」
「お帰り。って何なのお前さっきから。居ろっつったのお前だろーが」
それには答えず、無言のまま俺に抱き着くハル。訳がわからず、とりあえず背中を撫でてやる。
「で、何かあったのか」
「何かあったのは省吾だろ、ビックリした……」
「は?」
「昨日の夜だよ! 圭介が省吾に接触していたなんて……本当にごめん」
ああ、と少し納得。本人から聞いたのか。
「別になんも……で、何でお前が謝まるの」
「変な事言っただろ、あいつ」
眉間にしわを寄せ俺を見つめるハルを見て、こんな状況だけどやっぱこいついい顔してんな……なんてぼんやりと考える俺。
「別に……忘れた」
「省……」
ハルの言葉を待たずに触れる程の小さなキスをすると、ハルは少しだけ表情を緩め俺の首に抱き着いた。
仔犬がじゃれあうようにベッドの上へと転がり、ぎゅうと抱きしめ合えばそれは心地好く、自然と頬が緩む。それはきっとハルも同じで。
耳元で好きだと囁かれ、背中に回した腕に力を込めて抱きしめてみると、倍以上に抱きしめ返された。
「く、苦しっ……!」
「あ、ゴメン……」
甘いキスを重ね小さく息を漏らしたあと、ハルは囁くように呟いた。
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