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未来は僕らの手の中(社会人四年目十月) 1

「あー淋しいよ~。ホントに引っ越しちゃうのかあ」  などとのたまいながら、ベッドの上でゴロゴロしている男。  俺は荷造りしていた手を止めて立ち上がり、青木の脇腹を蹴り飛ばした。 「手伝うっつーから家に入れたんだ。邪魔するだけならとっとと帰れ」 「香取が居なくなる淋しさを噛み締めている俺に酷い仕打ちだよぉ」 「毎日職場で顔合わすだろうが、うぜぇ」 「それとこれとはまた違うんだってば」  知るか。  もうひと蹴り入れようとした時、ピンポンとチャイムが鳴った。  職場の誰かかと思い、何の気なしにドアを開けると。 「げっ!」 「げとは何だ、失礼だな」  ハルが立っていた。 「なな、何で来るんだよおま」 「最後位、省吾が住んでた場所見ておこうと思って」 「あっ勝手に入んな……」  断りもなくズカズカと部屋に押し入られ、ハタと現状を思い出す。  そうだアホ木がベッドの上に。 「香取の友達? こんにちはー! 俺、職場仲間の青木」  アホ木のヘラヘラした声が聞こえ、俺は玄関でひとり頭を抱えた。

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