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逢いたかったひと(大学四年生) 1
秋も終わりに近付き、冬の足音が聞こえて来るような、寒い夜。
塾の講師バイトの帰り道、たまたま通り掛かった閉店間際の小さなレストランの前で事件は起きた。
「こんな店こっちから辞めてやるよ!」
怒鳴りながら店から飛び出して来た男と思い切りぶつかり、見事に尻餅をついた俺。
「ってぇな、ちゃんと見て歩けボケ!」
ぶつけられたのはこちらだというのに悪態をつかれ怒りが込み上げた時、今度は別の男が店から飛び出して来た。
「二度と面見せんな!」
暴言を吐きながら歩き去る男の後ろ姿に悪態をついた後、くるりと俺に顔を向けると、そいつはひょいと手を差し延べて来た。
「わりぃな」
何故キミが謝る。
暗がりで顔もよくみえないまま、とりあえず差し出された手を借り立ち上がり、改めて目の前の男を見れば、俺より若干背の低い若い男。
大きな目だけど目尻がツンと涼しげな、綺麗な顔をしている。猫のような瞳だ。
とりあえず手を借りた礼を言うと、そいつは愛想の無いぶっきらぼうな物言いで俺を見上げた。
「あんた学生?」
「え、まあ……」
「今の奴が急に辞めて困ってんだ。あんたバイトしてくんないかな」
「は……」
「俺の友達ってことで」
「は?」
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