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逢いたかったひと 7

 十二月にも入ると、気が付けば街中はクリスマス一色に染まり、誰もが多かれ少なかれ浮足立ち始める。  ところがクリスマスを過ぎると途端に今度は正月グッズで賑わい出す、日本のあの妙なテンションが俺は好きじゃない。  クリスマスイベントも、彼女の為にと渋々重い腰を上げているというのが現状だ。  そもそも俺はキリスト教徒じゃないし。 (また面倒臭い季節がやって来たな)  そんな事を考えながら賑わう繁華街を横切り、バイト先のレストランに到着し、更衣室に入ると省吾がいた。 「おはよう」 「……はよ」  なんとも覇気のない声だなと、モソモソと着替えている省吾の様子を伺うと。 (あ、ボタンずれてる) 「省吾、ボタン」  俺の言葉に、あーと呟き始めからとめなおす。  大丈夫かと顔を覗くと、怒ってるでも落ち込んでいるふうでもなく、無表情で、なんというか、おかしい。  なんと声をかけようかと迷っているうちに、着替え終わった省吾は黙って更衣室を出ていってしまった。 (愛想が無いのはいつもの事だが)  ハテと思いながら厨房に入ると、他の連中と談笑している省吾が見えた。 (……気のせいか)  ふと掲示板のシフト表が目に入る。  二十四日に出勤する奴は、二十五日に休みを入れている。  皆でうまい具合に振り分けたんだろう。新人の俺にも希望を聞いてくれてたし、ここの人間は基本的に皆いい人だ。  とはいえ万年独り身が口癖の奴は両日出勤になっている。希望なのかはめられたのか、わからないけれども。 (……あ)  省吾のシフトも両日出勤となっていることに気付く。こいつはこんなにバイト漬けで、彼女に怒られないものなのだろうか。俺の彼女だったら、流石に物申してくるだろうにとひとりごちた時、名前を呼ばれた。 「ハル、今日一日ホール担当でいいか」 「ああ、かまわない」  省吾に呼ばれ、皆が集まっているテーブルへ向かった。

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