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逢いたかったひと 22

◇◇◇◇ 「そりゃ言われるだろ、興味ねーって」  ゲラゲラと笑う研究室連中を横目に、俺はPCから目を離しため息をついた。 「聞くような機会がなかったんだ、多分」  自分を正当化しようとする俺を隣の男が再び笑う。 「あんなに綺麗な人を彼女にしておいて、本当にどこまでも自分のペースで生きるよなお前って」  なんだそれと不満に思いながら、ふと記憶を思い返す。 (どうして付き合いだしたんだっけ)  サークルの先輩だった彼女とは、特に親しくしていたわけでもなかった。 (ああ、そうだ)  雪が降った日、彼女がうちに泊まった事から身体の付き合いが始まった。 『私、ハルの事が好きよ』  さらりと何でもない事のように言って笑う彼女を綺麗だと思った。  たまに恥ずかしがる仕種を可愛いと思うし、身体の相性も良い。料理も美味い。束縛をせず、自分も自由に生きる彼女を尊敬するし、居心地も良い。  好きかと聞かれれば、好きと答える。  でも、好きって何だろう。  ずっと会話に加わらなかった奴がやっとPCから顔を離し、大きく伸びをしながら俺を振り返り、のんびりとした口調でこう言った。 「それ以前にお前、彼女の事好きなの?」  俺は言葉に詰まり、マグカップの珈琲を口に含んでごまかした。

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