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会いたいと願う気持ち 17
結局眠りについたのは明け方で、目が覚めた時には昼近くになっていた。
目覚めても布団から出る気になれず、布団から腕を伸ばしてリモコンを手繰り寄せ、テレビの電源をつけたあと、再び布団の中で丸くなる。
今日はバイトもないし、大学の図書館も休みに入ったし、出かける予定もない。何もする気が起きないし、今日は一日ゴロゴロしようと決めて、畳の上に転がったままのスマホを手繰り寄せた。
(ハルから連絡、ねぇな)
昨日はあんな時間に追い出して、どうやって帰ったんだろうかと少し気になった。ここの最寄りから二駅離れていると聞いたから、歩いたらまあまあ遠いはずだ。タクシーを使ったかもしれないけれど、多分徒歩だろうなと思う。
(風邪引いてなきゃいいけど)
そこまで考えてハッと我に返る。あんな好き勝手しやがったんだから、追い出されて当然だ。風邪引いたって自業自得だ。俺が気にする必要はない、はずだ。
『省吾が、好きだ』
昨晩のハルの声と顔が鮮明に思い出され、両手で顔を覆う。どうしてあんな事になったんだっけかと思い返しても、ハルがなんであんな突然キレたのか、やっぱりさっぱりわからない。
「……あー……クソっ」
(大体、どこでどう間違ったら俺の事を好きだって思うんだよ……)
そこまで考えて、ふと気付く。昨日はとにかく力でねじ伏せられた事にむかついて一杯だったけれど、一晩過ぎた今少し冷静になって思い返してみれば、そうだ。
(あれ……俺はハルに、告白されたのか?)
途端に顔が熱くなり、むくりと身体を起こす。色々問題あるとはいえ、その辺り削ぎ落としてシンプルに考えてみれば、もしかしてハルは俺に告白してきたって事になるんだろうか。
気付いたら体中がどんどん熱くなってきて、心臓がドクドクと鳴り始めた。布団に入ってもいられなくなり、起き上がってキッチンへ向かった。冷蔵庫からペットボトルの水を取り出し、そのまま一気にガブ飲みして、はあと大きく息を吐く。
(もしあれが告白だと仮定したら、俺はそれに対して何かちゃんと返事をするべきなんだろうか)
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