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会いたいと願う気持ち 35

 ハルが誕生日に何を思うかとか、胸の中の事なんて何にもわからない。今だって。今見ている姿はどれだけ本当なのか、それすらわからない。 (他人の事情なんて、それこそ興味のないものだったのに)  ふと、知りたいなと思った。なんなら自分の話を少ししても良いとさえ思った。けれど、その考えはすぐに打ち消した。そんな事を考える自分は気持ち悪い。今までにない事態だ。落ち着かない。やめだ、やめ。  食事を終えてスマホを開き、最新ニュースのチェックをはじめたところで、ふいにハルが口を開いた。 「省吾の誕生日って、いつ」  なんでもない事のように聞かれて、俺も深く考えるまでもなく答えた。 「四月三十日」 「そうか、新緑の季節だね」  あーそうだな、と軽く聞き流し、ハルもそれ以上口にする事はなく、残り僅かな休憩時間をお互い同じ空間の中で、思い思いの事をして過ごした。  沈黙の時間を妙に心地よく感じながら、静かに煙草をふかしているハルも同じように感じているのだろうかと、少し考えた。

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