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会いたいと願う気持ち 43

 圧縮袋から布団を取り出すのが面倒で、フローリングの上にそのままゴロンと仰向けに寝転んでみた。白い天井に、照明は備え付け。エアコンもついている。最高だ。 「固いけど、これなかなか気持ち良いな」  床に転がっているスマートフォンを手繰り寄せて開いて見ると、母親と、同期の林からラインが来ていた。母親からは引越しの進捗確認、林からは明日の夜暇なら飲みに行こうと誘いが来ている。母親には「引越し完了」と返信し、林には「いいね、明日また連絡する」と返信した。スマホを手離し、仰向けのまま目を閉じる。  東京から名古屋に移動して、先輩と飲みに行っただけの一日だったけれど、身体はしっかりと疲れていて、床に根を張ったような重みを感じる。うとりうとりと意識は薄れ、そのまま眠ってしまったらしい。  目が覚めて時計を見れば、深夜0時を回っていた。寒くはないけれど、身体が痛い。フローリングの上でうたた寝はするもんじゃないなとひとつ学んだ。  むくりと起き上がり、残っていた炭酸水を口に含む。ぬるい液体を喉に流し込みながら、ふとハルの事を思い出した。  送別会の後は会う事もなく、連絡も取りあっていない。忙しかったというのもあるけれど、そのうちハルから連絡が来るんじゃないかと軽く考えていた。自分から送ろうにも特に用件もないしなとずるずるしていたら、あっという間に一か月が過ぎていた。  とはいえ元々、地元連中とだって用事がある時くらいしかやりとりはないし、自分のライフスタイルからしたら、全然異常な事ではない。なのに、気になりだしたら胸がざわついて、ハルの顔が頭から離れなくなってしまった。 『もう会えないと思ってたから』  わかりやすい位さびしそうな顔をするもんだから、心に残ってしまったんだ。 「あいつ、どうしてんのかな」  ぽつりと呟き、時計を眺めながらふと気づく。 (あ、俺誕生日じゃん)  連休初日の夜。ハルの事だから、もう寝ているということはないだろうと軽く考え、まあ寝てても迷惑に思うことはないだろうと思ったらスマホを掴んでいた。

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