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冬の夜をきみと~メリー・クリスマス~ 1

◇◇◇ 「いやー、皆お疲れ様! これで明日の会議に間に合う」  チームリーダーの麻生さんが皆に労いの言葉をかけ、皆口々に安堵の息をついた。 「今何時だ、クリスマスイブになったんじゃないか?」 「軽く飯でも食いに行くかぁ」 「腹減った。ハルは?」  皆が腰を降ろして寛いでいる中、猛スピードで帰り支度をしている俺に圭介が声をかけてきた。  悪いが丁寧に返してる暇はない。 「いや、帰る」 「何だよ、こんな時間から用事でもあるのか」  しつこい。  その質問には答えず、お先に失礼しますと皆に声をかけてから研究室を飛び出した。  職場から自宅マンションまで車で二十分。こんなに長いと感じたのは初めてかもしれない。  部屋の明かりが見えた時、心臓が大きく跳ねた。嬉しすぎて胸が痛い。苦しい。早く会いたい。  あの部屋で、省吾が俺を待っている。

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